【おススメの本】『10歳までの子を持つ親が知っておきたいこと』/鍋田恭孝 後編
10歳までの子を持つ親が知っておきたいこと (こころライブラリー)
- 作者: 鍋田恭孝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/08/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ふつうの家でふつうに育ってきたはずの子どもが、
思春期に不登校や摂食障害などの問題にぶつかる。
その背景には、
10歳ぐらいまでの親の関わり方に問題があった。
ということをこの本で読んで、
僕は「あーー、なるほど」と思ったのですが、
今日はその続編。
前回の記事では、
なぜ10歳ぐらいまでの子育てが重要なのか、
厳格な家で育てられたカレン・カーペンターが
その後、摂食障害で長年悩んだことなどを書きました。
今日は、
ふつうの家で育つ一見「いい子」に見える
危険な4つのサインを本書から取り上げたいと思います。
いつもは本など読みやしない妻が、手に取って読んでいたのでそれなりに面白いのではと森野は推測しています。
「思春期に悩み始める子どもの4つの特徴」
著者の鍋田さんは、
長年、精神科医・臨床心理士として、
臨床の現場を見てきた方。
こんなことを本に書いています。
以下に、私が診てきた子どもたちや、その親たちから聞いた内容をもとに、思春期に悩むようになった子どもの学童期のようすの中で、潜在的な問題につながっていると考えられる特徴を述べたいと思います。大きく分けて、4つのパターンがあります。一つ目は「自分の主張がなさ過ぎる子、自分で選べない子」、2つ目は「どこか不安や緊張の強い子」、3つ目は「規則や役割にこだわる子」、そして「周囲の期待に応え過ぎた子・評価され過ぎた子」です。
出典:「10歳までの子を持つ親が知っておきたいこと」鍋田恭孝
そう以下の4つ。
○「自分の主張がなさ過ぎる子」
○「不安や緊張の強い子」
○「規則や役割にこだわる子」
○「周囲の期待に応え過ぎた子 評価され過ぎた子」
順番に詳しく見ていきます。
「自分の主張がなさ過ぎる子、自分で選べない子」
たとえば、日々の食事や誕生日のプレゼント、
その他日常のこまごまとしたこと。
こうした中で、子供が
「好き嫌いを言ったことがない」
としたら、要注意だそうです。
そういう子は、好き嫌いの感覚が育っていないか、自分の気持ちを表して否定されることを恐れているか、「どうせ、親は自分の気持ちに関心を持っていない」と思っているか、自分の気持ちよりも「親が何を求めているか」に関心が集中しているか、のいずれかの可能性があると考えられるからです。
完全に親本位の子育てですよね。これって。子どもの気持ちに向き合わず、親の思うがままに子供を育てていくとこんなことになってしまう恐れがある気がします。子がもうあきらめているというか・・・こうした無気力な子どもにはしてしまいたくはない、ですよね。ほかにこうしたケースにあてはまる子どものサインとしては、こんなのもあるそうです。
- 自分の好きなものを選べない
- ごねることがない
- 親の指示に素直に従う
- 予定を狂わされても文句を言わない
- いつも人に譲ってしまう
- 淡々としている
- 自慢げにすることがない
- いたずらをしない
うーん。
確かにこういう子って「いい子」に見えそうだけど、
子どもらしくはない、ですよね。
子どもならではの奔放さがない、というか。
ただ難しいのは、
「人に譲ること」や「自慢をしない」、「いたずらをしない」というのは、時と場合によっては、人付き合いや社会の中で生活していく上で必要なことでもあります。
その塩梅、どういうときにどこまで言うか、
親の見極め・関わり方が重要になってくるわけです。
「どこか不安や緊張の強い子」
不安や緊張が強いと、慎重になり、無意識のうちに無難に過ごそうとするため、与えられた枠の中で行動するようになります。ですから、親からは、問題のない素直でよい子にみえるのです。
中学校2年生のときに不登校になったIさんは、親からはおとなしく問題のない子とみられていましたが、本人は「子どもの頃は、父親にいつ叱られるかわからないという緊張感をいつも持っていた」そうです。「何か大きな音がするとビクッとしていたことを思い出す」と言っていました。第2章で紹介した飯島愛さんも、家の中では、緊張から食事のときも心安らぐことがなかったようです。
親って機嫌が悪いときとか、
つい大きな声を出したり、机を「ドン!」って叩いて怒りますが、これも子供にとっては想像以上に恐怖なんだなーと改めて思いました。
僕も子どもを叱るときに、
つい、大きな声を出してしまうことが正直あります。
だけどあんまり度が過ぎると、
こうした不安が強い子どもを育てることになってしまう。
このことは肝に銘じておかなければいけませんね。
あと、こういう不安の強い子というのは、
「友達との摩擦を避ける、苦手なことを避ける」傾向もあるようです。
確かに親との関係が不安と緊張に満ちたものであれば、それは当然、人との関係全般にわたってくるのも無理ない話です。
「規則や役割にこだわる子」
これ、うちの子がちょっとそうなんですよね。
決められたことを決めたとおりにやる。
そこから少し脱線したルール変更を極端にイヤがるんですよね。
こうした枠組みにこだわる子の特徴として
鍋田さんはこんな要素を挙げています。
- 順番などにこだわる、準備しすぎる
- 規則を守ることにこだわる
- 勉強や習い事を頑張りすぎる
うちの子は今、小学生ですが、最後の「勉強や習い事を頑張りすぎる」に、ちょっと該当しているかなー。常に上昇志向というか、勉強でいうなら、ささいなミスを嫌うし、習い事も完璧にこなせるまで頑張ってしまうタイプ。うーん、ちょっと危険なかおりがするぞ・・・。
では、こうした子どもにどう対処すればいいのか?鍋田さんは対処法も示しています。
子どもが素直に黙々と習い事を続けているなら、練習に行くときのようすや表情を見てみてください。そして、ときには「嫌になることはないの?」と聞いてあげてください。嫌になっていると言うとき、またはそう見えるときは、どうしてそうなったのか、子どもと話し合ってみましょう。体に痛みがあるなど、理由がはっきりしていればそれを解決すればよいのですが、もし、興味が持てなくなったということなら、「どうしても嫌ならやめてもいいのよ」、と伝えましょう。~中略~嫌な気持ちを押し殺していることが、子どもにとっていちばんよくないのです。
そうですね。子どもの表情をよく見て、よく気持ちを聞いてあげること。これにつきますね、やっぱり。
「周囲の期待に応え過ぎた子、評価され過ぎた子」
これはなかなか難しいですよね。
たぶんこういう子ほど、小学校のときって、成績はよくて、運動神経もよくて、容姿もすぐれいていて・・・って何か「特別な」ものを持っていて、それで評価されるわけでですから。
でも、鍋田さんによると、こうした子も要注意なのだとか。
彼の言葉を借りると、こうした子は、自分が特別であることが当たり前になってしまうようで、自己愛の問題を抱えやすいんですって。それが学童期には「いい面」として捉えられていても、思春期になると本人の精神的な問題として表面化してくる、ということみたい。
ということで、子どもが特別な何かをもっていても、過度に「特別扱い」することはやめたほうがいいですね。そうした「ふつうに扱わない感じ」が子どもを誤った方向に導いてしまうということは大いにありうるから。
また、そうした子が良い結果を出せなかったときの対応も重要だと鍋田さんはおっしゃっています。
もっともしてはならないのは、「何だ、こんな結果なの、がっかりだわ」という態度を見せることです。このような親の態度に接すると、子どもは「人は良い結果を出していないと相手にしてくれないものだ」と考えるようになり、良い結果を出すことに固執し始めます。「今回は残念だったわね、次は頑張ろう」「うまくいかないときもある。あなたが頑張ったことはお母さんがわかっているわ」というような対応を心がけましょう。
うん、否定はよくない(笑)
そんなことは当たり前ですが、この態度、にも気を付けないといけないですね。子どもって本当に親の表情とかよく見てるので。
で、この本は、次の章でこうした子どもを育てないために、
親が気を付けるべきことを詳細に解説していますが・・・
それは・・・
ぜひ、本書を手に取ってみてください!
まとめ
子どもにとって家族は切っても切り離せないもの。親の力がないと子どもは生きていけないわけですし、日常的な親とのかかわりの中で、子どもは人付き合いや社会で生きていくための知恵を学んでいきます。だからこそ、日常での子どもとの向き合い方は大切なわけです。
と、ここまでは正論。
でもねーー。
毎日ドタバタの中では、子どものペースで物事を進めるわけにはいかない、というのもあるわけです。親が子どもの尻をたたいて急かさないと、学校にも間に合わないし、出かけるときにも「ああしろ、こうしろ!」ってなってしまうのも事実。
親と子だと親の方が圧倒的に力が上
なので、強く出ようと思えばいくらでも強く出れるし、それで子どもを支配してしまうこともできてしまう。
でも、それが行き過ぎると、子どもの心には大きな傷を残し、思春期にその問題が爆発してしまう。こういう本を読んで、ちょっと一歩引いて、今の親子の関係を見つめなおすというのが大事だなーと森野は感じました。
ちなみに、いつもは子供に口うるさい妻が、
この本を読んで、子どもに優しく接していたのが、
微笑ましかった((´∀`)
(スグニモトニモドルンダロウケド)
おしまい。
前回の記事はこちら。あわせてどうぞ。
ではでは。