小沢健二、その大胆不敵な音楽の才能
この前TVを見ていたら、
SUZUKIのラパンっていう車のCMで、
懐かしい曲が流れていた。
そう・・・
小沢健二の歌。
Michelle143さんという歌手がカバーしているんだけど。。。この曲を聞いたら途端に昔の思い出がフィードバックしてきた。音楽ってすごいなと思ったんだけど、それ以上に思ったのが・・・
シンガーソングライターとしての
小沢健二の才能だ。
小沢健二の曲は、小沢健二にしか書けない。
彼の書く曲はどれも独自のワールドで貫かれていて、ほかのアーティストの影響を感じることがない。
たぶん独自の価値観から絞り出されたであろう、
唯一無二の完全なオリジナル曲。
東大文学部卒業。
叔父にクラシックの巨匠・小澤征爾氏。いとこに俳優の小澤征悦。父はドイツ文学者で母は心理学者。
これほどサラブレッドの出自はないんでなかろうか、というぐらいの経歴。
でも昔、音楽番組に出たとき、彼女(当時付き合っていたのは深津絵里だったか?)のことを「子猫ちゃん」とぶっとび発言をのたまわっていて、頭のねじがはずれているんじゃないか、と疑ったこともあった。
でも、東大卒業。
頭はしっかりしている、はず。
そして肝心の歌唱力は・・・
・・・
・・・・・
・・・・・・・
正直、微妙_| ̄|○・・・
(生放送を見たとき、うまくはないと思った。)
そして、メディアでの活動はほとんどしていないのに、
時々突然TVに出たりする神出鬼没な感じ。
一体、どうやって暮らしているんだろう?
確か外国人女性と暮らし、子どもも二人いるとか。
・・・
・・・・
そんな小沢健二。
そういえば昔、「フリッパーズ・ギター」というバンドを小山田圭吾と組んでいた。
「恋とマシンガン」。。。
イントロが鮮烈すぎて、今聴いても鮮烈だ。
小山田圭吾はのちにコーネリアスとなったが、二人とも音楽の才能がずば抜けていた。
「渋谷系」っていうムーブメントのきっかけになったのも、この二人からでしたね。
で、冒頭に戻ってCMで使われている「ラブリー」。
1994年に発売された2ndアルバム「LIFE」に収録されている。
- アーティスト: 小沢健二,スチャダラパー,服部隆之
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 1994/08/31
- メディア: CD
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確か2曲目。
このアルバム、東京スカパラダイスオーケストラをバックバンドに入れていて、ホーンを多用した音の作りになっている。
ポップソングなんだけど、ソウルっぽい要素もあるしビッグバンドの要素もあるし、すごいファンキーな曲だ、どれも。
僕はこのアルバムをたまに聴くが、
聴くたびに、驚くほど捨て曲がない。
どれも小沢健二の、小沢健二による、完全なるオリジナル曲。
日本のポップソングってよくできているとは思うんだけど、曲の展開やメロディラインが似たり寄ったり、歌詞もなんだかどれを聞いても・・・という曲が多く、あまり個性を感じるアーティストが少ない。というのが森野の感想である。
正直、金太郎飴のようなのだ。
けど、小沢健二は違う。
この歌詞とメロディは誰にもマネができない。
あ、でもネットを見るとメロディは、
かなりパクリがあるとも言われているけど・・・。
ま、ま、まあメロディに関しては置いておこう。
まずは歌詞だ。
このアルバムの1曲目。
とおり雨がコンクリートを染めてゆくのさ
僕らの心の中へも浸みこむようさ
この通りの向こう側 水をはねて誰か走る
夕方に簡単に雨が上がったその後で
お茶でも飲みに行こうなんて電話をかけて
駅からの道を行く 君の住む部屋へと急ぐ
いつだって可笑しいほど誰もが誰か 愛し愛されて生きるのさ
それだけがただ僕らを悩める時にも 未来の世界へ連れてく
非常に身近なとこから歌い出しているが、驚くほどの人類愛にあふれている。ネガティブなにおいをまったく感じさせない、ネアカな歌。
小沢健二の歌詞は、大体このトーン。
多くのポップソングが聴き手に何かを求め、鼓舞するメッセージ性を含んでいるが、彼の歌にはそういう要求はない。世界の認識の仕方がポジティブである、その姿勢を小沢健二は歌っているだけだ。
独特の表現で。
そしてこのアルバムの7曲目。
心がわりは何かのせい?あまり乗り気じゃなかったのに
東京タワーから続いてく道 君は完全にはしゃいでるのさ
人気のない秋の渚 ぼくらだけにひらける空
”元気でいて”とギュッと抱きしめて 空港へ先を急ぐのさ
遠くまで旅する恋人に あふれる幸せを祈るよ
ぼくらの住むこの世界では太陽がいつものぼり
喜びと悲しみが時に訪ねる
こちらはポジティブ一辺倒というわけではなく、悲しみが現実に起こりうることを踏まえている。しかしその上で、世界をポジティブにとらえようという姿勢は変わらない。
そしてもう二つ、僕が好きなアルバム「刹那」から。
- アーティスト: 小沢健二
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2003/12/27
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「痛快ウキウキ通り」
「さよならなんて云えないよ」
小沢健二の歌は、恋愛の歌でもある。
この2曲も、世界のすばらしさを歌っている。
それは隣にかわいい彼女がいるから、かもしれない。
うらやましい。
女の子が隣にいてそんな多幸感につつまれたことなど・・・
最近とんとない( ノД`)
だけど、そのすばらしさの一端は森野もわかる。
過去にかろうじてそうした記憶があるというぐらいだけど。。。
小沢健二の歌は万人に優しく作られている(笑)
そしてこれは極めて個人的な感想だけど、
小沢健二の歌は、冬にきくといい。
冬のちょっとした小春日和にドライブなんかしながら聞きたい。
これからの季節にぴったりなのだ。
そして一部フレーズにパクリがあるのかもしれないが、このトータルのメロディラインは独自性が高い、と僕は思っている。やっぱり、小沢健二は小沢健二なのだ。
終わりに
こんな唯一無二のポップソングを作るほどの才能を持ちながら(歌はうまくないが)、
小沢健二はここ長らくシングルを出していない。
ちょこちょこアルバムは出したり、ライブをやったりしてるみたいだけど。
ほとんど活動停止状態である。
これほどオリジナルな世界観につつまれたポップシンガーは、数えるほどしかいないんではなかろうか。もったいない、と森野は思う。
もう新しい曲はリリースしないのだろうか?
よく小説家が作品を書き続けるのに、才能の源泉が枯れてしまって書けなくなりフェードアウトしていくという話を聞くが、彼もそんな状態になってしまったのだろうか?
その辺の事情は音楽業界に疎い森野には知る由もないが・・・
僕は彼の才能を惜しむ。
と言いつつ、また突然TVに出るみたいに、ぽんと新曲を出したりして。
そんなことを期待する森野である。
今日はこのへんでおしまい。
読んでくださったみなさん、ありがとうございました。