いろんな人の人生が垣間見える読売新聞・「人生案内」がタメになる!
読売新聞のくらし面に掲載されている「人生案内」を
ご存じだろうか?
「人生」・の・「案内」。
「人生案内」。
なかなかすごいタイトルだけど、
森野はここだけは毎日欠かさず見ている。
「人の振り見て我が振り直せ」とか「他山の石」とか。こんなことわざじゃないけど、自分の人生のあり方を見つめ直すときに他人の生き方というのは、ものすごーーい参考になるわけで。
そして絶対に自分では思わないような、または想像もつかないような悩みを抱えている方も実際にいるわけで。
そんな同じ日本で暮らしているいろーーーんな方々の悩みに、著名人が回答するというのが「人生案内」。
なんだか「他人の不幸をのぞき見る」というようにとらえる方もいるかもしれないが、そういうことではない。
人の生き方に共感するのだ。
人が生きるということはそれだけでいろいろな悩みが出てくる。それぐらい大変なコト。そうした悩みに共感しながら(ときにあまりに突飛すぎて共感できないこともあるけど・・・)著名人の回答を見て、自分の立ち位置を見つめ直す。「人生案内」は、そんな自分の人生をより見つめるきっかけとなる。
ということで昨日見た「人生案内」が、心にぐっときたのでご紹介させていただく。
70代の女性が寄せた投稿は・・・「初恋」の悩みだった。
昨日、何気なく新聞を読んではっとした。
「70代女性 初恋に今も涙」というものだった。
以下、新聞から引用してみる。ちょっと長いですが、ぜひお付き合いを。
70代後半の女性。初恋の人を思い出し、切ない気持ちで涙に暮れています。
彼は父の部下で、父がよく自宅に招いていました。私は兄のように感じ、高校の頃、恋に変わりました。彼に「軽率なことはできない」と言われ、手をつなぐだけの清純な交際でした。
しかし、彼との交際を父に反対されたのです。彼は父が不在の時も、家に立ち寄って泊まることがあり、母が手料理でもてなしていました。それを父が知って激怒。彼を評価していた父に反対されるとは、夢にも思っていませんでした。
彼に会って反対を押し切れないと伝えると、彼は言葉もなく、一度も不利か向かず、去っていきました。
しばらくして、 彼が会社を辞めたことを母から聞きました。彼の名前しか知らず、捜すすべもなく、一生の別れとなりました。
父が薦める相手と見合い結婚し、波乱万丈の人生を送りました。その夫が他界し、初恋の人を思い出して悲しくなるのです。残りの人生をどういう気持ちで生きていけばいいのでしょうか。
出典:11月7日 読売新聞 より
なんということでしょう。
父が勤めていた会社の部下に思わず恋し、プラトニックの恋愛だったにも関わらず、父にばれたことでその恋愛は破たん。その後、お見合いで結婚し夫が亡くなった後も今なおその悲しい思い出を引きずっている女性。
哀しすぎる・・・。
投稿されたのは70代の女性ということで、この恋愛はきっと数十年前、昭和の時代のことでしょう。今の時代ではなかなか考えられない恋愛の形だ。
その時の後悔が数十年たった今でも深く心に残っている。
この事実があまりにつらい。
で、この投書を読んでいたら、ある小説のことを思い出した。
ガルシア=マルケスの「コレラの時代の愛」に写される昔の恋愛の形
この小説、ご存じですか?
- 作者: ガブリエル・ガルシア=マルケス,木村榮一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/28
- メディア: 単行本
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こんな話。
81歳の夫フベナル・ウルビーノ博士は自殺した友人ジェレミーアの葬儀を前に、オウムを捕まえようとしたはしごを登って足を踏み外して亡くなる。傷心で葬儀に臨む老いた妻フェルミーナのもとに76歳のフロレンティーノ・アリーサが現われ「わたしはこの時がくるのを待っていた。もう一度永遠の貞節と変わることのない愛を誓いたいと思っている」と告げる。
時代は遡り、1897年、コロンビア・カルタヘナ。17歳の貧しい郵便局員のフロレンティーノはある日、配達先の裕福な商人の13歳の娘フェルミーナに一目惚れして、2人はたちまち恋に落ちる。母親が「うちの息子の病気はたった一つ、コレラなのよ」と恐慌をきたすほどの恋に浮かれる。1リットルのオーデコロンを飲み続けた末に香水の匂いのする吐瀉物にまみれたり、フェルミーナからの手紙を薔薇の花を食べながら読み返す。しかし、元ラバ商人で闇の商売で儲けている彼女の父は、娘を名家に嫁がせると決めており、娘と1年半にもわたる旅に連れ出す。こうして2人の仲は引き裂かれてしまう。
やがてフェルミーナは、コレラの撲滅に尽力するヨーロッパ帰りの医師ウルビーノ博士に見初められ、結婚する。それを知ったフロレンティーノは、何年でも彼女を待ち続けると心に誓う。後年、叔父から引き継いだ河川運輸会社のトップになることもあり、60人を超える女性と恋愛を楽しむのであった。
初恋の女性を51年9ヶ月と4日待ち続けた男の壮大な愛の顛末を描く。
時は19世紀末、一人の女性に恋したフロレンティーノ・アリーサという青年が50年越しの恋を実らせるという話。この時代、蔓延していた不気味なコレラという病気の存在と、病的ともいえるぐらい一人の女性に思い焦がれる青年の姿を重ね合わせながら描く、恋愛小説。
この小説では、結局、フロレンティーノ・アリーサとフェルミ―ナは結ばれるわけだけど。でも50年以上、つまり半世紀も一人の女性に思いをはせ続ける男の姿というのはあまりにも切ない。
そしてさっきの人生案内では、そうした恋、お互いが互いを思っていたにも関わらず、親の反対だけで実らない恋愛があった。今では想像しにくい、時代の風紀の中で実らない恋愛というのが昔は確実にあった。
ってことを考えると・・・
今の時代は確実に幸せだ。
終わりに:今回の回答はこんな感じ
そして再び「人生案内」に戻る。あの女性の悩みに対して、どんな答え方があるのだろう。
今回の回答者は評論家の樋口恵子さんである。
もう人生案内ではおなじみの一人。
私は80代。あなた同様、昔、出会った人々を懐かしく思い出すことが多くなりました。あの時、こうすれば良かったと、小さなことにこだわったりもします。
初恋のお相手を思い、涙がこぼれる日々をお過ごしとは、少し行きすぎですが、今や「命短し恋せよ老女」に、時代が移ったのかもしれません。それも悪くないなと、あなたの真剣さを羨ましくさえ思います。
しかし、あなたは今の心境から抜け出したいからこそ、ご相談くださった。新しい人生に向かう第一歩はすでに踏み出されている。後は、少しずつ、一歩ずつ、過去よりも現在、そして未来へと向かうことです。
毎日、きちんと食事をとり、一日一度は身だしなみを整えて食材の買い物や散歩に行く。自治体の広報誌などにこまめに目を通し、月に何度か無料の講座に出れば、耳学問でも結構、身につきます。そして、相性の良さそうなグループに入って、何か手足を動かす。
こうした平凡ながら充実した日々を大切にすれば、あなたの未来への足取りはより確かになるはずです。
出典:11月7日 読売新聞 より
規則正しい毎日。
もうね、これしかないんです(笑)
酒に逃げるのも・・・タバコに逃げるのも・・・ギャンブルに逃げるのも・・・それは個人の勝手なので止めようもないけど、やっぱりこういう気持ちのつらさを和らげるのは・・・
時間しかないんだな。
と。
そしてその時間をやり過ごしていくためには、辛い気持ちを抱えながらも、規則正しい生活しかない。
これって、恋愛だけでなく、いろんなことに応用できると思うんだけど。
みなさんはどう思いますか?
ということで、今日はこれでおしまい。