『働く理由』/戸田智弘~「働く・生きる」を哲学するオススメの本
過去の偉人の名言から●●を学ぶ!
って本は結構な数が世に出ているけど、
正直、読んで感銘を受けたものってこれまでほとんどなかった。。。
なぜって、それは「いい言葉を引用すればオッケー」みたいなところで止まっていて、その文章をかみ砕いたり、そこから著者のオリジナルな思考にいたっていない本が多かったから。
なので、この本も手に取ったとき、あんまり期待してはいなかったんだけど・・・
- 作者: 戸田智弘
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2007/07/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 9人 クリック: 207回
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意外!かなり面白かったぞ!
まあありがちな「仕事論」の本ではある。
だけどこの本が優れているのは、著者の戸田さんが数々の作家たちの文章を借りながら、ご自身の頭でその文章の意味を推敲し、独自の仕事論を展開しているところだ。
ひとつの名分を引用したらその意味を戸田さんがかみ砕き、地面を固める。
そしてその足元を固めたら次の名言が出てくる。またその名言の意味するところを考える・・・ってな感じ。
そしてそれは仕事論にとどまらず「生き方」の話にまで展開する。
早速本書の魅力を紹介していきたい。
「自分から動く」大切さを説く名言
「やってみないとわからない」ってよく聞く言葉だけど、この本でもそうした「動くことの大切さ」を伝える数々の言葉を引用している。
「そもそも働いてみないと好きなことは見つからないのではないだろうか。働いてみると、嫌いだと思っていた仕事が好きになったり、好きだと思っていた仕事がそうでもなくなったりするのではないだろうか。働かずに好きな仕事をみつけようというのは、まさに畳の上の水泳である。まずは水の中に飛び込まないと何も始まらないのである。」
「仕事をしなければ、自分は見つからない」 三浦展
出典:「働く理由~99の名言に学ぶシゴト論~」戸田智弘
ああーー、やっぱりそうだよね。
自分がその仕事を好きかどうか、
それは働いてみないとわからない。。。。
僕もさ、就職してサラリーマンとして働いてつくづく思った。そもそも僕はゼロから物事を企画することが好きなんだーーと思って今の仕事に就いたたんだけど、むしろ「まとめる」とか「よりBETTERな答えを見つける」ほうが向いてるみたい。
残念ながら。。
でもしょうがない、そっちのほうがいいんだから。
でも、こうした「やってみること」の大切さって多くの人が言っていますね。
「やってみないとわからない」「わからないんだからすぐやれ!」と。
そして戸田さんは別の言葉をこんな風に引用している。
内面を見つめるのではなく実際に試すことだ。本当に可能性を見いだすのは、行動を通じてである。新しい活動を試し、いままでと違う人に接し、新たな手本となる人を探しだす。自分の「物語」をまわりに人に伝え、書き換える。~中略~
新しい情報を取り入れ理解し、色を加え輪郭を書き足し、陰影や濃淡をつけ形を整える。何かを選ぶたびに将来の自分の肖像画が描かれていく。再出発するには、考えることよりまず「行動」することだ。
「ハーバード流 キャリア・チェンジ術」ハーミニア・イバーラ
出典:「働く理由~99の名言に学ぶシゴト論~」 戸田智弘
外国人が語ると、なんかそれっぽく聞こえちゃうから不思議だ。
要は同じことを言っているんだけどね。
行動しないと、ホントのところは何もわからないよ、と。
これこの手の本を100冊読んだら99冊ぐらいは同じことを言っているので、もうこれは真理と呼んでも差し支えないはずだ。
もう一つ「仕事論」でよく出てくるのが、好きなコトを仕事にしたほうがいいのかどうか問題。。
「好きだからこそ、仕事として楽しむことができる」
いやいや・・・
「好きなことは仕事にしないほうがいい。」
だって仕事は自分の思うように行かないことも多いから。せっかく好きなコトが嫌いになってしまうかも。
これもよく聞く話だけど、この本ではこんな言葉が引用してあった。
「自分のキャリアを考えるときは「娯楽」「趣味」「特技」は分けて考えるのがよいと思います。「娯楽」は必要であるにしろ、発展性のないその場の息抜きですが、「趣味」は「特技」に変化していく可能性があり「特技」は仕事に進化発展することが多いものです。」
「人事が変われば 会社は変わる」香本裕世
出典:「働く理由~99の名言に学ぶシゴト論~」 戸田智弘
自分の好きなことを考える際には「娯楽」「趣味」「特技」と区分けして考えてみようという提案。
娯楽は息抜きで終わるけど、趣味は特技へ変化する可能性があり、特技は仕事へと発展する可能性がある。
そうなのかもしれないけど、今の時代は「娯楽」すら「仕事」へつなげちゃう人もいますもんね。ラーメン好きが「ラーメン評論家」になったり、とか。そもそも「娯楽」と「趣味」を分けることすら難しいかも。
ならば、「好きなコト」を突き詰めてとことんやって思わぬ結果が出ちゃうぐらい得意なことだったら・・・
結果が出てしまったら・・・
それは仕事にしたほうがいいってことですかね。
仕事論から幸福論へ 人の生き方を考えさせられる名言
この本はこうした「仕事って何だっけ?」ということを皮切りに著者の戸田さんがどんどん考えを深堀りしていくのが面白い。
で、仕事って突き詰めていくと結局「生き方」とか「人の幸せ」ってところに自然たどり着きますよね。
じゃあ、人の幸せって何よ?っていう時に僕は作家の井上靖氏の言葉が印象に残った。
どうやら幸福というものは、ひどく平凡なことの中にある。静かな眼、おだやかな心、健やかな体、平穏な日々、そうした状態以外の何ものでもないらしい。
幸福は求めない方がいい。求めない眼に、求めない心に、求めない体に、求めない日々に人間の幸福はあるようだ。
「欅の木」 井上靖
出典:「働く理由~99の名言に学ぶシゴト論~」 戸田智弘
「幸福とは、おだやかな心、健やかな体など・・・そうした状態である」
000おおおお000
よく「幸せを求める」とか言うけど、幸福とはそういうもんではない
「目的」ではなく「特に問題ない状態」が幸せなんだって井上氏は喝破したわけです。
そしてそして、あの美輪明宏さんは、こんな風に言っています。
幸福というシロモノは、陽炎のように儚いものなのです。~中略~しかし、いつでもどこでも、今すぐ幸福になる方法、常に幸福感を味わえる方法があることはあります。
それは簡単なことです。つまり、どんなことでも何でもよいから<感謝すること>を自分の中にまわりに探して見つけることです。
「ああ正負の法則」 美輪明宏
出典:「続・働く理由~99の至言に学ぶジンセイ論~」戸田智弘
幸福とは感謝することにあり。
はーーーΣ(・□・;)
「幸福」っていうのは、何かキラキラしてすべて欲しいものが揃って、それでとても満ち足りた状態である、って思ってたんだけど・・・。
そう考えても自分が辛くなるだけかもしれませんね。
だってそんな理想、手に入らないから。
美輪さんも井上氏も両者共通しているのは、「幸福」はもっと敷居が低くて淡くてそこらへんにあるもの。
実は多くの人の足元にあるんだけど、その「幸せ」に気付けるのはあなた次第ってことなのかな?
いかがでしょう?あなたは「幸せ」を感じられていますか?
好評なのか? 続編は「ジンセイ論」
この本、好評だったみたいですね。
実はもう1冊、続編が出ているんです。
- 作者: 戸田智弘
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2008/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本は前作の「シゴト論」から「ジンセイ論」に風呂敷を広げている。けど書いてあることはまあ同じ。スタイルも変わらない。
よくぞ探し当てた!という名言がこちらもいろいろ紹介されている。
少しご紹介。
「一体どれだけ努力すればいよいか」という人があるが「君は人生を何だと思うか」と反問したい。努力して創造していく間こそ、人生なのである。
御木徳近
出典:「続 働く理由」~99の至言に学ぶジンセイ論~」戸田智弘
われわれは、安逸と贅沢が得られなければ人生の幸福はあり得ない、と考えているが実際に人を真に幸福にするものは、何か我を忘れて取り組める事柄を持つことである。
チャールズ・キングズリ 「カーネギー名言集」D・カーネギー
出典:「続 働く理由~99の至言に学ぶジンセイ論~」戸田智弘
上は怠惰な態度を叱咤する言葉であり、下はフラットな観点で語っているが、言っていることは両者そんなに違わない。
熱中し格闘できる何かを見つけた人はそれだけで幸せ。
要はそういうことなのか・・・
そういう気もする・・・
まとめ
この2冊の本は、あわせて198の言葉を著者の戸田智弘さんが一つ一つかみ砕き、その意味を読者と共に考えていこうという姿勢が前面に押し出されている。
僕は読んでいて、そんな戸田さんのスタンスにとても好感を持った。
名言はそばにいて優しく語りかけてくれる言葉から、いきなり怒りモードのお説教言葉まで、まあ様々だ。ただ日本・欧米各国の偉人たちの名言を見ていくのはそれだけでも面白い。
テーマはいろいろとあるし、名言も本当にいろんなジャンルから文章を選んできていて、それを眺めるだけでも面白い。
ぜひ興味を持った方は本書を読んでいただきたい。
今日は僕が読んだ中でグッときた言葉をご紹介したが、まとめるとこんな感じ。
- 好きなことは、行動してみないとわからない
- 幸福とは、穏やかな心・健やかな体・平穏な日々の状態こそにある
- 何かに没頭し創造していくことこそ、人生である。
僕はこうした過去の人の名言にめっぽう弱い。。
たとえその言葉が難解、難しくても、つまんないやって拒否するのではなく、何とか読み解こうとしてしまうタイプ。
あんまりお得な生き方ではないと思うのだけど、「時」の試練をくぐり抜けてきた言葉って、それだけで価値がある気がする。
ある種の敬意を抱いてしまうわけ。
みなさんはこういう名言、どう感じ、どう受け止めますか?
投げかけ形式で今日はおしまい。
お読みいただい、ありがとうございました。