伝説の”レインボースーパーざかな”

好きな本や音楽のこと、日々の暮らしを気ままにつづる雑記ブログ。

【おススメの本】『独立国家のつくりかた』/坂口恭平 後編

 

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

 

 

この本についている帯を見たら、

そのキャッチフレーズが、

あまりにわかりやすく面白かった。

 

 

まずはそこからいってみます!

 

現政府に 文句があるなら、

勝手に独立国家をつくっちゃえばいい!

それはすなわちゼロから

自分の「生」をつくりあげることだ。

  ヒントはいつも子どもの質問にあるー

  • なぜ家ってこんなに値段が高いの?
  • 土地は所有できるものなの?
  • そもそもお金がないと本当に人間は生きていけないの?

匿名化したシステムとは戦わない。何も破壊しない。

ただ、歩き方を変えること。視点を変えること。

そして、思考しつづけること。

それだけで世界はまったく別の相貌を見せ始める。

 

見事なサマリーです。

 

簡潔な言葉でこの本の内容を的確に表現している。

 

この本は、芸術家で作家でもある坂口恭平さんが、大学時代に出会った路上生活者たちの暮らしから「モバイルハウス」という変わった家のスタイルにたどりつき、そこから3・11をきっかけに熊本に自分の国を作ってしまう異色の本だ。

 

その国を作るに至った彼の哲学は、この本にふんだんに書かれていて、

それはそれで面白い。

だけど僕がこの本で一番衝撃を受けたのは、「モバイルハウス」。

できるだけ安く家を建てるこの試みだった。

前回の記事で、坂口さんが路上生活者たちから様々なことを学び、そのいくつかを紹介した。で、今日は坂口さんが建築家兼芸術家として実際に取り組んだその「モバイルハウス」なるものを紹介したい。

 

2万6000円で作れる「モバイルハウス」とは?

 坂口さんは、なぜ日本の家は何千万円もするのか?なぜ人は家賃を払わないと生きていけないのか?という「住まい」に対して大きな疑問があったのだという。

そこでホームレスの人たちの暮らしを学んで、そこから具体的な提案を始めた。

それが「モバイルハウス」だ。

 

どんな家なのか?

詳しくは本書を手に取りぜひ読んでほしいのだが、なんのことはない。

プレハブである。

だから2万6000円で作れてしまうらしい。

 

でもただのプレハブではない。

 

車輪がついている(笑)

 

そう、移動できる「家」なのだ。

 

なぜ、家に車輪をつけたのか?

坂口さんは、このように述べている。

 

すべての土地は実は色付けされている。それは鈴木さんの家を見て学んだ。宅地に建てるから住宅になってしまい、高いし融通がきかない。そこで建てる場所を拡大解釈する。

 モバイルハウスは法律上で捉えると「車両」である。車両は農地だろうが駐車場だろうがどこでも置ける。そして、東京には駐車場がたくさんある。でもそんなものを駐車場に置かせてくれる大家さんがいるのか。お願いしてみたら、三軒目で快くオッケーをもらえた。

 

 なるほど。

土地の縛りから抜けるために、

家を車両に見立ててしまい、

駐車場に置こうという発想。

 

なんと大胆!

 

そしてこのモバイルハウスは、

暮らしあり方そのものを変える可能性ももっているという。

 

だって、家を持つのに2万6000円しかかからなかったら、誰もががむしゃらに会社で働かなくていいことになるでしょう?しかもこれをたとえば一区画(熊本では15㎡)年間5000円の市民農園として貸し出されている土地に置けば、家賃は月400円!当然、労働の意味も変わってくるはずだ。しかも、家を移動することだって自由にできてしまう。

 

たしかにこの費用で住居がまかなえてしまうならば、わざわざサラリーマンになってあくせく働く必要はない。確かに今の日本人にとって毎月払い続ける家賃やローンが、生活の規定そのものを決めてしまっている。

 

7・8万円かければ、もっと素敵なモバイルハウスも作れる

このモバイルハウス、もう少し手を加えお金をかければ、おしゃれな家にもなる。グリーンをふんだんに置いた「4D GARDEN HOUSE」は、まるで自然と一体化した家のようだし、「WINDOW HOUSE」は2階建ての木造の建物で、プレハブには見えない。ちょっとした家だ。

これらも7・8万円で作れてしまうのだという。

(本には写真つきで紹介されているので、興味がある人はどうぞ。)

 

ぼくらは「家は買うのが当たり前」「家賃を払ってアパートに住むのがあたり前」と思っている。だけど、今の日本でもよーーく頭を使って考えれば、そうではない方法を考えることもできる。

 

そうすると変わってくるのが

「お金」についてだ。

 

ぼくらは例えば東京で暮らしていくならば、月に数十万円はかかると思っている。

家賃に光熱費、PCのネット費用、携帯、子供の塾費用・・・etc。そしてその費用を得るために、必死で働く。今の日本では、そのお金を組織に属して稼ぐならばかなり一生懸命働かなければいけない。

 

でも、みんながみんなその暮らしを

求める必要はあるのだろうか?

 

僕も会社員として15年働いているけど、年々仕事を取り巻く環境が厳しくなっている。そして、仕事内容そのものもなかなかの厳しさ。正直、これをあと20年以上続けていく自信はない。

 

で、あるならばもっとサイズダウンした生き方を考えてもいいのではないか?どうやってお金を稼ぐか?に頭を使うのもいいけど、どうやってお金を使わないで楽しく生きるか?に頭を使ったほうがいい。

 

そんな「暮らし方の見直し」を

モバイルハウスは訴えかけている。

 

「試すこと」の価値

坂口さんは、路上生活者の人々とのコミュニケーションから、そしてこのモバイルハウスの取り組みを通して、「試すこと=トライすること」の意味を改めて問いかけている。

 

試せば試すほど、人間はどんどん智慧を身につけていく。そして恐怖心が和らいでいき、どんな困難な状態であろうと淡々と生きていくことができるようになる。

なぜなら試すことで「知った」からである。

自らの生活に必要な「量」を。不安ではなく恐怖の実体を。つまり、生きるとは何かを。~中略~

しかも、実は社会システムですらもそれを許容してくれるように設計されているのである。ただそこで生きる人間たちが勘違いしているだけなのだ。なにもできない、と。お金がないと死んでしまう、と。

 

うーん、いろんな人の本を読んで共通するのがここですね。

「試すことにおびえるな」。

これはもう一つの真理なんでしょう。

 

日常の薄皮をほんの一枚剥いでみれば、もっとおもしろいことがいっぱいある。絶望している状態でだって、それは見つけられるということを僕は鈴木さんに学んだ。泣いていても、悔しくても、絶望しても、死にそうになってもまだやる。そこに笑える世界がある。養老孟司さんはこんなどこかの国の諺を教えてくれた。

「どん底に落ちたら・・・・・・底を掘れ!」 

まとめ

ということで、2回にわたって

坂口さんの本のレビューを書いてみました。

 

が実はこれ、

新書のまだ1章分。

 

この本のエッセンスのほんの一部しか紹介していない。

それぐらいこの本の内容は濃いと思う。

 

おもしろい視点を見つけたい人、

なんか常識から脱したいと思っている人には、

ぴったりの本だと思いますよ。

 

前回の記事はこちら。

 

morinokanata.hatenablog.com

 あわせて読んでいただけたら嬉しいです。

 

では、またーー。

 

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