【おススメの本】『「人生二毛作」のすすめ』/外山滋比古
ちょっと前に 「思考の生理学」が流行って、
改めて読み直してみた外山滋比古さんの本。
外山さんはお茶の水女子大学の名誉教授。
専門の英文学以外にも言語学、ジャーナリズム論など
さまざまなジャンルの研究をされてきた方。
wikiで調べたら1923年生まれというから、
すでに90歳を超えているよー・・・
(;゚Д゚)
でも、まだまだ精力的に活動されています。
ホント、アンビリーバブルな方ですね。
でもご老人の本だから、イイヤ・・・
というアナター。
本当にもったいないですよ!!
むしろこの本で外山さんがおっしゃる
「人生二毛作」は若い人にこそ読んでほしい。
僕は今、30代後半だけど、
読んで非常に心に刺さりました。
何がそんなに響いたのか、
じっくり見ていきますね。
「人生二毛作」ってどういうこと?
「人生二毛作」という言葉は、
外山さんの造語だと思いますが、
一応「二毛作」の本来の意味をまずは確認。
これ、たしか農業で使う言葉でしたよね。
「二期作」と混同しやすいので、
ちゃんとコトバンクから引っ張ってきます・・・
「1つの耕地に同一年度内に、2種類の作物を栽培すること。」
あー、そうだった。
春に麦を収穫して、そこから米を植えて秋に収穫するやつね。
ちなみに二期作は、同じ作物を2回栽培して収穫するコト。
で、この二毛作を人生に置き換えてるのが、
外山さんのこの本のテーマ。
「二期作」ではなくて「二毛作」なところがポイントです。
つまり、一生の中で2種類の作物を収穫する、
もうちょっと言うと、
人生80年の中で後半は違う仕事で生きる、
ということを提唱されているわけです。
人生の二毛作を志すなら、40代から準備を進めておくことです。~中略~
サラリーマンでいえば、定年まではあと20年近くあります。二つ目の作物の種を植え、何年か生育状況を見ることができます。~中略~種は3つ、4つまいてもいいでしょう。その生育状況をじっくり見比べ、そのなかから、しっかり根づいたものを二毛作の品種として選んでもいいのです。ところで育成すべき作物とはなにか。すなわち、人生の後半戦で打ち込める「仕事」はなにかです。
出典:『「人生二毛作」のすすめ』外山滋比古
さらに外山さんはこの文章に続けて、
今までの仕事でやってきた「得意なこと」には固執しないほうがいい、
とも述べています。
なぜ外山さんは「人生二毛作」をすすめるのか?
どうしてこんなに二毛作を薦めるのか。
次の文章を見てください。
先が見える50代で、このまま会社に残ってもたかが知れていると第2の道を選択した人がいたとします。もう一方は定年まで、あるいは定年後も雇用延長で会社に残っていた人。このふたりを比べると、60歳以降の10年間、20年間はあきらかに違ってくるように思います。もちろん前者のほうが、活力に満ちた第二の人生になるはずです。~中略~30代で、将来を見据えた資産形成の第一歩。40代で、自分を活かせる「もうひとつの仕事」の発見。そして、50代が「もうひと苦労」するための適切な時期というわけです。
うーん、確かに50代になるともう完全に、
自分の位置は決まってますよね。
中間管理職から上にあがって
経営側に立てる人間なんてほんと一握り。
とするならば、
後半、会社に居続けて腐っていくよりも、
違う道を見つけるための準備をしなさいよ、
というのが外山さんの
30代、40代へのメッセージというわけです。
僕は30代後半にして、
すでに上への道はなさそうだし・・・。
この言葉を見たときは、
やっぱうれしくなりましたね。
心が軽くなる生き方のコツも紹介!
外山さんは、日々の過ごし方の中で、
外に出ること、
散歩でもいいから外の空気に触れることの大切さを
こう表現しています。
外に出るということは、心を外に開くということでもあります。たとえ、ひとりの散歩であっても、そこに外界との接点があります。外界との接点をもつことで「心の血栓」が溶けます。身も軽く、清々しい気分にもなれるというものです。年をとってくれば、妻は夫をわずらわしいと思う。子どもも親のいうことなんか聞きはしない。そういうものだと思っていれば、自然に外に心が向くようになります。第二の人生の生きがいは、家族というより、むしろ自分のためと考えたほうが、たのしく愉快なものになります。
「心の血栓」という言葉が好きです。
何かイヤなことやストレスが溜まると、
心に何か詰まった感じがする。
その内に・・・内に・・・といった心の嫌な部分は、
外の世界の触れることで意外に簡単に解消できる。
確かに第二の人生の頃には、
子どもも成長して親から離れていきつつある。
「家族」という形が、また変わるときです。
そのときに親が家族に固執してもしょうがない。
外に目を向け、社会に対して何をするのか?
そこを考えるべきですよね。
僕も身につけたい!「老練の技」とは?
ぼくはこの本の中で、
「いやー、年寄りってすごいね」
という含蓄ある言葉を見つけました。
淡々とした生活のリズムのなかで暮らしていると、精神的にも大きな利益があります。最大の効用はいやなことを忘れられることです。生きていれば疎ましいことがいろいろあります。不満の種が心にくすぶることもあります。しかしいちいちそれにふり回されてはいけません。規則正しい生活は、そのいやなこと、疎ましさを自然に消却してくれます。
この「規則正しい生活」の大切さって、
本を読んでいると、多くの人が触れているんですよねー。
前に書いた記事でも、
村上春樹さんや松浦弥太郎さん、内田樹さんの名前を挙げましたが、
外山さんも同じことを言っていますね。
でも僕が面白いと思ったのは次の言葉。
「老練の技」ということについて語っています。
年寄りは鈍感です。というより、鈍感なふりを平気でします。~中略~いやなことを右から左へ受け流してうまく処理するのを弁えているのです。忘却の一種です。
すごいですねーー。
なんか駅のホームで駅員さんにつっかかっている
疲れたサラリーマンとかおじさんとかに
読ませてあげたい。
あえて鈍感になるってまさに経験のなせる業ですね。
ぼくも20代とか30代前半のころに比べたら
だいぶ物事を気にしない性格になりましたが、
この境地まではまだいってないですよね。
うーん、いいです。
まとめ
ということで、
どうやって終わろうかと考えていましたが、
ネットで調べていたら、
こんな記事が。
日付をみたら、
2016年8月1日の記事・・・。
どこまで現役なんだー!!!
この老人、すげえな。(゚Д゚;))
(尊敬!!!)